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効率的な営業先の探し方~情報源活用と効果の出る営業リストの作り方

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営業リスト

新人営業マンが一番苦労するのが営業先の探し方。土日・深夜であれこれ工夫をして何とか自分なりのリストを作って、営業時間に一生懸命電話やダイレクトメールで営業、運良くいい顧客を掴んだ一部の営業マンだけが生き残っていく・・・。

営業を中心とした会社によくみられる光景ですが、顧客側がネットで簡単に情報を比較して商品やサービスを選ぶ時代の今、営業マンの採用コストや空振りの営業を続けている時間はあまりに非効率です。

私が以前いた会社でもそんな営業スタイルが残っていて、入社間もない社員の電話での営業アポイント(いわゆるテレアポ)は50件かけて1~2件程度、入社何年か経っても、30件に1~2件。そこから受注できるのはさらに5~10件に1件くらいなので、極端な話、10日に1件くらいしか成果が出ていませんでした。

「コンテンツマーケティング」「インバウンド営業」といわれる時代ですが、まだまだお客様と直接話して買ってもらうための「アウトバウンド」営業も重要です。今回は①効率的な営業先とは何か、と②具体的な営業先の探し方についてまとめてみました。

目次
1. 効率的な営業先を確認する
 1-1. 「効率的な営業先」とは何か
 1-2. 営業先をセグメントで考える
 1-3. ターゲットを決める(優先順位をつける)
2. リストを作るための情報源と営業先を探し方
 2-1. 情報源(ソース)を決める
  2-1-1. 有料の情報源
  2-2-2. 無料の情報源
 2-2. リストの作成と活用
  2-2-1. リストの作成とメンテナンス
  2-2-2. 個人情報保護法やマナーを忘れない
  2-2-3. 活用の仕組みを作る
【コラム】~折角のリストも宝の持ち腐れ?!~
3. まとめ

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1.  効率的な営業先を確認する

営業リストを作るための営業先の探し方について記事ですが、少しだけ時間を割いて「効率的な営業先」について確認しておきましょう。

1-1. 「効率的な営業先」とは何か

私のいた会社では、20~30件に1件程度アポイントができて、その中から5~10件に1件程度の受注ができていました。全体で20人程度の営業社員がいて、年に2-3名入れ替わっていく上での平均的な数値です。

生き残った多くの社員は「偶然に」よい顧客を得て、その積み重ねやさらにそこからの紹介などで、そこそこの数値が挙げられるようになり、十分に「食える」ようにもなって(同時に受注の処理などが限界になり)成長が頭打ちになっていきます。

「継続的な成長」の問題は今回の主旨ではないので別の機に譲りますが、折角採用した営業マンが、なかなかアポイントや注文が取れないのは、本人も苦しいし、会社としても時間の損失です。

いうまでもなく、効率的な営業先とは、受注までのプロセスが少なくて済む営業先、1回の営業でより多くの商品やサービスを注文してくれる(つまりニーズを沢山持っている)営業先です

では、具体的にどうやってその様な営業先を探してリスト化するのかを見ていきましょう。

1-2. 営業先をセグメントで考える

まず、自社の商品やサービスにとって効率的な営業先とはどんな企業のどんな人かを決めます。流行りの言葉では「ペルソナ」といったところでしょうか。

商品やサービスによって顧客の「セグメント」(カテゴリーといってもいいかもしれません)は当然違いますから、営業先候補の企業や職種をまずセグメントに分けて、そのうえで自社にとっての一番攻めたい(≒効率の良い)、ターゲットとなる営業先を決めます。

セグメントを切り分けるにはいくつかの切り口があります。例えば

    • 規模:「大企業」「中小企業」、「売り上げ1,000億円以上」、「100億円以上」、「10億円以下」「1億円未満」

であったり、

    • 業種:「製造業」サービス業」「小売業」・・・もう少し細かく「銀行(業)」「ソフトウェア開発(業)」

であったり、或いは

    • 部門や職種:「人事・総務部門」「営業部門」や「経営企画部門」「経営者」・・
    • 地域や行政区:東京都内、関東一円、関西、北海道、目黒区、、

などなどです。
この中から、自社の商品やサービスを発注してくれる「顧客」がいるセグメントを「売り上げ10億円から50億円程度の製造業の、総務人事系の部署」などと確認していきます。

1-3. ターゲットを決める(優先順位をつける)

自社がアプローチする先をセグメント分けしたら、セグメントごとの優先順位を付けます。セグメントわけが上手にできれば、自分たちがターゲットにすべきところがすぐわかると思います。

商品やサービスの性質などからどうしてもセグメント分けがうまくいかなかったり、実際の顧客が多くのセグメントに同じように広がっている場合には、過去の受注歴の分析などで比べて、一応の優先順位をつけましょう。評価の低いセグメントも、いきなり切り捨てずに予算や時間が許せば順にターゲットに加えていきます。

なお、過去の実績から分析するときは、例えば過去にその業界に詳しく人脈のある営業マンがいたからとか、ある特定の大口顧客がいたから、といった偶然の要素がないかに注意しながら評価しましょう。また過去に大きな受注のあった産業や企業も、数年で様変わりしていることなどもあります。最終的な評価の際には、産業や企業の将来性も考察しましょう。

【図:ターゲットセグメントの設定の一例】

salestarget

2. リストを作るための情報源と営業先を探し方

さて、ターゲットとなるセグメントを確認したら、実際にそのセグメントを中心に営業リストを作ります。営業リストは基本的には「プッシュ」(或いは攻め/アウトバウンドとも)の営業に使います。もちろん「プル」(待ち/インバウンド)にも参考にできますが、基本的にはダイレクトメールや電話、FAX、電子メールなどでの営業に使います。

2-1. 情報源(ソース)を決める

ではいよいよ営業リストにつかう営業先を探しますが、まずはその情報を集める情報源を探します。

無料/有料、電子媒体/書籍、固有名詞あり/なしなど、いくつもありすぎてどれを選べばいいかわからなかったり、逆にどこで得られるのかなかなかわからないこともあります。

商品やサービスによって情報ソースは様々ですが、ここでは実際に私が使っていたものを中心に紹介します。

2-1-1. 有料の情報源

後でDMの宛先として印刷したり、電話やFAX番号を追記したり、営業の記録を残したりするために、エクセルなどで使いやすいものが理想です。

もし予算が許すなら、セグメントの設定やリスト化の点からも有料の情報源がやはり使いやすいです。具体的には以下のようなものでした。

    • 日経人事ウォッチ:日経新聞オンラインのオプションサービス。上場企業を中心に7,000社以上の企業の、具体的な役職者、そのプロフィールまでもがわかります。アカウントごとの利用数の制限などから、大きなリストとして使うより、最後の絞り込みに向いています。
    • TDBTSR:それぞれ帝国データバンク、東京商工リサーチの略で、古くからの権威ある企業データベースです。どちらも対象企業数が400万社以上と、国内のほとんどの企業をカバーしているとのことです。前者では「cosmos2」後者では「「tsr-van2」というサービスで営業先としての企業リストが作れます。「信用調査会社のビッグ2、帝国データバンク・東京商工リサーチを徹底比較する」といったような比較記事もあります。
    • BaseconnectLISTBaseconnect株式会社が提供している企業情報データベースです。2019年10月の時点で96万社以上について、35項目以上の情報で絞り込みながら利用できるなど、企業リストとしての使い勝手は非常に優れています。96万社の情報をすべて自由に使おうとすると、年間360万円という費用になってしまいますが、毎月50社までなら無料で使えるプランもあります。
    • 業界紙、業界新聞:多くの業界紙や業界新聞が、特に年度の境目などに参加企業やその人事異動情報を掲載しています。新聞といっても発行が月に1回であったり、その割に購読料が高かったりし、また多くがデジタル化されておらずリストとして扱いずらい事も多いですが、特定の業種業界についての貴重な営業先情報が得られることがあるので、その様な営業先を求めている方は、一度チェックしてみる価値があります。

2-2-2. 無料の情報源

主に公的な情報源の他、毎月数千円の購読料のかかる新聞も含めてご紹介します。

    • 国税庁法人番号公表サイト:国税庁が設置する「法人番号の指定を受けた者の1.商号又は名称、2.本店又は主たる事務所の所在地、3.法人番号(基本3情報)を公表しています」とのことで、1社あたりの情報量は少ないものの、基本的には国内にあるすべての「法人」のリストです。エクセルやCSVでのダウンロードができるなど、リストとしては非常に優れています。(東京については1ファイルの容量が大きくなりすぎたりもしていますが、23区と都下等で分けられてもそれはそれで不便な事にもなりそうです。)
    • EDINET:こちらは金融庁が設置している「金融商品取引法等に基づき有価証券報告書等の提出期限の延長が承認されている会社」の開示書類のデータベースです。主にPDFの開示資料が中心ですが、APIという、プログラムでデータをダウンロードするサービスも開始されたので、技術のある方は上場企業等の代表名や事務連絡者(総務や広報の役員が多い)の情報が必要な方には使い勝手がよくなっています。
    • 日経新聞人事異動情報:厳密には無料ではありませんが、日経新聞には7,000社を超える企業が人事異動の情報を発表しています。先の100万社単位の企業データベースに比べれば対象の企業は限られますが、大企業等の特定の役職の方へのアプローチが必要な商品やサービスには貴重な情報です。オンライン版ではコピペすることで、エクセル等への手入力の必要なく使えることや、スクレ―ピングなどのテクニックがあればある程度リストとして入手も可能ですので、使い勝手良く利用することもできます。オンライン版の場合は発表から一時期の掲載となり、あとは有料の人事ウォッチサービスを利用、となるようです。
    • 異動ニュース:やはり上場企業等を中心に、新聞紙上や会社ホームページで各社が発表した人事情報を取りまとめているサイトです。業種別に並べられていて、各社のページでは2から5年分程度の発表が取りまとめられているので、特に業種別のセグメントが必要な方には使いやすくなっています。

2-2. リストの作成と活用

営業先をセグメントし、ターゲットが決まったら、実際に情報を取得して営業活動の仕組みに組み込んでいきます。情報資産としての活用も考えます。

2-2-1. リストの作成とメンテナンス

ターゲットとなる営業先のリスト作成のソースを決めたら、実際にリストを作成して活用し、メンテナンスします。企業も移転などで住所が変わることや、吸収・合併などで名称さえも変わることがあります。変更の情報が入ったら逐次書き換えたり、一定の期間で繰り返し利用するときには都度変更の有無を確認するなどして正確を期します。

2-2-2. 個人情報保護法やマナーを忘れない

2016年11月の個人情報保護法の改正で、個人情報の取り扱いが一段と厳しくなりました。人事異動のニュースなどは発表する会社側が広く発表しているものですが、特定のサイトで偶然に見つけた情報や、名簿屋と称する不正に入手した情報を販売しているような情報を取り扱うことは、個人情報保護法違反となる恐れが強いのでよく確認しましょう。

また逆に大企業で社長や役員の名前あてに闇雲に連絡をするのも、先方の迷惑になることが想像に難くありません。ビジネスの情報を提供すること自体は良いことかもしれませんが、マナーも含めて営業する必要があります。

2-2-3. 活用の仕組みを作る

ある特定の商品やサービスの営業や、ある時期のキャンペーンなどの目的でターゲットのリストを作成したら、今度は他の商品やサービスについての営業や、別のキャンペーンなどでの活用も考えます。部署や担当が違うとリストの存在さえも知らないということもありますので、漏洩などのリスクには配慮しながら、社内の資産としての活用も行います。

【コラム】~折角のリストも宝の持ち腐れ?!~

ある支援していた会社では、アウトバウンド営業が主流でした。時代の変化に合わせて、それはそれでインバウンドの仕組みの構築も進めていましたが、部署や担当を超えて他の商品を紹介しようと、いわゆるクロスセルの活動を考えて、SFAの情報としての情報整備を進めていました。

ところが、SFAの担当による情報の一元管理を図ったところ、規模の小さい会社であったために他の仕事も兼務していた担当の手が回らず、エクセルで営業したリストがSFAに取り込まれないまま何か月も放置されるという事態になっていました。

複数の部署、担当やそれぞれのデータベースをまたがる「名寄せ」作業は容易ではありませんが、結果的に折角の情報が鮮度を失い、活用されないままになってしまっていました。

その会社ではいくつかの選択肢の中から、SFA担当への兼務業務を切り分ける形で対処していくそうですが、情報資産の活用では特に無駄な作業やボトルネックが生じないように最初の設計が肝心です。

営業リスト管理活用ではぜひその点にも注意しましょう。

3. まとめ

アウトバウンド営業は顧客側のニーズが必ずしも顕在化していないタイミングで行われることが多く非効率になりがちです。

一方で、一般社団法人日本ダイレクトメール協会の調査(DMメディア実態調査2018)にもあるように、受け取った人に需要の喚起を促す作用があるのも事実です。

皆さんもぜひ、顧客を適切にセグメント分けして評価・優先順位付けを行って、効果・効率の良いターゲットの営業リストを作成して活用してください。

 

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