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会社売却を検討中のオーナーが相場より高く売るために今できる5つのこと

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会社売却

レコフ社の調べでは、2019年の日本企業のM&A件数は10月末の時点で2017年の実績を上回り、同社が統計が公表している1985年以降の中で、最高であった2018年を上回る勢いで推移しています。

一方で同じ時期、M&Aの金額は2018年の半分以下にとどまっていて、小規模化の傾向が現れています。

これは一つにはブームの到来と言われて数年を経て、大型案件そのものが落ち着いてきたということもあるでしょう。しかしその一方で、米中関係からの製造業の業績悪化等を背景に、買い手側が慎重になっていることも大きな要因と考えられます。

承継問題等で売却する側の事情には、時間的要因はプレッシャーとなって大きくのしかかります。買い手が慎重になりつつある今、長年手塩にかけた会社や事業を相場より少しでも高く売るためには、売り手には何が出来るのでしょうか。

売却を検討中のオーナーがこれからでもできることをまとめてみました。

【目次】
1.M&A市場での買い手側事情の変化

 1-1 景気停滞を背景とした慎重姿勢の拡大
 1-2 慎重姿勢からの厳格な企業審査
 1-3 ネガティブ要因は即価格の引き下げに
2.相場より高い売却のために譲渡企業ができる事
 2-1 業績を良くする
 2-2 時間に余裕を持つ
 2-3 ネガティブ要因を排除する
 2-4 自社のアピールポイントを整理する
 2-5 買い手の意図を正しく理解する

3.押さえておきたい買収企業の視点10項
 3-1 譲渡企業の市場性の視点
 3-2 譲渡企業・事業の内部状況についての視点
4.まとめ

1.M&A市場での買い手側事情の変化

M&Aの1件あたりの売買金額が低下した背景には、冒頭挙げたように大型案件の出尽くしといった要因もありますが、大型案件に手を出さなくなったことも含めて、買い手側の事情・姿勢の変化が大きく影響しています。

1-1 景気停滞を背景とした慎重姿勢の拡大

2019年10月1日に日本銀行が発表した「日銀短観」の3期連続悪化に見るように、企業の業況判断が悪化し、2018年の様に成長戦略としての積極的な姿勢が少なくなって慎重姿勢が拡大し、一つにはこれが2019年のM&Aの1件当たり金額に影を落としています。

1-2 慎重姿勢からの厳格な企業審査

さらにM&Aに対しての企業の慎重な姿勢は、そのまま担当者や仲介業者の厳格な審査にも影響します。これまで少々の判断ミスや審査の不徹底にも寛容であった買収側全体が、不備に対して敏感になり、それはそのまま審査の厳格化につながります。従来であれば「売り手市場」的に市場に出せば複数社が手を挙げていたものが、買い手も仲介事業者も譲渡企業を厳格に審査するようになっているのです。

1-3 ネガティブ要因は即価格の引き下げに

それらの結果、これまでは大目に見られていたり、買収後に買い手側が対応することとして早く「手挙げ」することを必要としていた買い手側が、譲渡企業のマイナス要因について事前の解消を求めたり、価格交渉の重要な要素として取り上げるようになってきています。その結果、マイナス要因を抱えていることは即、譲渡価格の引き下げの可能性につながるようになっています。

2.相場より高い売却のために譲渡企業ができる事

ただ、景気の減速などの要因は必ずしもM&A市場にとってマイナスばかりでもありません。買い手側企業も、重要な成長戦略の一環としてM&Aが選択肢となるからです。ただ、前述のように慎重な姿勢が強まることは避けられません。

そのような中で大事な会社・事業を相場より高く売却するには、やはり一定の準備や努力が必要となります。ここでは、少しでもいい条件での売却に必要なことを確認しておきましょう。

2-1 業績を良くする

基本中の基本として、少しでも自社の業況・業績をよくしてから売却の検討・手続きに望みます。M&Aになれた企業であれば算式で、そうでない企業でも利益やキャッシュフローの額は価格算定の重要な根拠になりますので、なるべく良い業績をもって望むことは基本中の基本です。

2-2 時間に余裕を持つ

経営者の健康問題や承継問題、あるいはキャッシュフローの事情などによって、早期に売却したいというニーズが生じることがあります。しかし、時機を見て即断することは重要ですが、売却を急ぐことがプラスに働くことは少ないと認識してください。買い手側の査定、いわゆるデューデリジェンスには通常では早くても2~3か月、長ければ1年近い期間を要することもあり、売り急ぐ事はそのまま足元を見られること、価格が引き下げられることにつながります。可能な限りコンディションを整えて、「適正な価格であれば」という姿勢を貫きましょう。

2-3 ネガティブ要因を排除する

企業や事業には様々なネガティブ要因が内在することがあります。例えば来るべき法改正への体制が取れていない、免許や資格要因が充足していない・ひっ迫している、経営陣や社員に問題を抱えている、などです。これらは買い手側が提示価格を引き下げてくる重要な要因になりますので、自社の状況を棚卸して、ネガティブ要因を事前に排除してから売却交渉に臨みましょう。

2-4 自社のアピールポイントを整理する

同時に、業界ポジションや優良な取引関係、商標や特許をはじめとした独自技術やノウハウなどを中心に、自社の長所、アピールポイントをわかりやすく整理し、最終的にはそれらを活かしての実現性の高い数年先までの事業計画を作成しておくとよいでしょう。買い手側が独自で保守的に作成するよりも、自社で根拠をもって作成したもので交渉に臨むことで、実力より低く評価されるリスクを回避できます。

2-5  買い手の意図を正しく理解する

最後に特定の買い手企業が現れた場合、仲介業者や買い手側企業が伝えてくる言葉だけでなく独自の調査・情報収集で買い手側企業の業況や業界ポジションなどを確認し、買い手の意図を正しく理解しておきましょう。資本市場からの業績成長期待や、業界でのポジション構築に必要である場合など、買い手側の必要性が高いほど、売却価格が高まる可能性があります。

3.押さえておきたい買収企業の視点10項

件数だけを見れば2018年を上回る勢いのM&Aの裏側にも、第1章で述べたような構造的はマイナス要因が忍び寄っています。一方で、次章で述べたような本質的な改善には、創業者・経営社の高齢化などで売却を急ぎ、手が打てない企業も少なくないことでしょう。

ここでは買収企業の主要な視点をご紹介し、情報を整理しておくことで、少しでも高い評価に結び付けられるように買い手側の視点を整理してみます。

3-1 譲渡企業の市場性の視点

主要な市場性の視点には以下のようなものがあります。市場性の視点は譲渡企業が短期間で改善するのは困難なものが多いですが、買い手が分からない/気付かない可能性などについて情報を提供することで、高評価を得られる可能性があります。

1.市場性

譲渡しようとしている会社・事業の市場規模やその動向、競合状況や参入障壁などを見ます。一定のスケールがある、市場が伸びることが予想される、免許や資格要件で守られているなどの要素があれば整理して提示しましょう。

また買い手候補が明らかな場合は、事業のシナジーの有無・期待なども重要な要素となります。

2.事業を取り巻く制度政策動向

社会情勢等による根拠法や法的要件の議論や動向、各種基準などが、対象企業・事業にとってどのように影響するかを見ます。現在優位である点、或いは予想される制度変化に対して柔軟性を持つ部分などを示していくことが考えられます。PEST分析(Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術))等を使って確認します。

3.対外関係

系列やグループ関係の他、主要な取引企業や取引金融機関がチェックされます。良好な関係であることはもとより、M&Aが新たな話題性や買収企業側のネットワークの拡大に貢献する場合には高く評価される要因になります。

4.風評・評判

業績や取引情報の他に、業界やネット上などでの風評・評判がチェックされます。長い年月での評判は簡単には変えられませんが、ネット上のいわれもない風評被害などは、運営者に削除依頼を申し入れる等の対応を行っておくことも考えられます。

5.契約・登記等の状況

過去に不利な条件で締結した契約がないか、簿外債務等の要素を持った契約がないか。また不動産や設備等で登記・登録等の要件を満たしていないものがないかも確認されます。自社ですぐできるものは、対応しておくべきです。

3-2 譲渡企業・事業の内部状況についての視点

譲渡企業の内部、いわば内情についての主要な視点は以下のようなものがあります。内部状況とはいえ必ずしも直ちに修正できるものではありませんが、市場要因に比べるとコントロールできる部分が多いはずです。マイナス要因を少しでも排除しておくことが高評価につながりますので、事前に検討したうえで、できるところは対処しておくと買い手の評価、ひいては譲渡価格の向上への効果が期待されます。

1.財務・会計状況

売り上げや利益の額・推移、利益率や成長率はもとより、会計処理の適正さや買収後の改善可能性等について確認されます。

2.事業性・収益性

買い手は譲渡企業・事業のどこを伸ばせるか、どこをカットできるかといった視点で事業を見てきます。投資資金がなくて実現できなかった成長の可能性、諸々の事情で削減できていないが、譲渡後には削減できる費用項目などを整理しておけば、買い手側の理解や期待を高め、高評価につながります。

3.経営(者)

買い手側は、譲渡後に残る役員等の経営手腕はもとより、自社の評判が傷つかないように、譲渡企業の代表者以下経営陣の人物像や交友関係までも調べてきます。特に反社会的勢力との関係を疑われるような関係などは交渉の打ち切りに直結しますので、事前にきちんと整理しておく必要があります。

4.組織・内部体制

業績や取引情報の他に、業界やネット上などでの風評・評判がチェックされます。長い年月での評判は簡単には変えられませんが、ネット上のいわれもない風評被害などは、運営者に削除依頼を申し入れる等の対応を行っておくことも考えられます。

5.内部統制・コンプライアンス順守

過去に不利な条件で締結した契約がないか、簿外債務等の要素を持った契約がないか。また不動産や設備等で登記・登録等の要件を満たしていないものがないかも確認されます。自社ですぐできるものは、対応しておくべきです。

4.まとめ

備えあれば憂いなしといいますが、会社や事業の売却もまさにその言葉が当てはまります。M&A市場の動向、買い手企業の基本的な姿勢や考え方、調査項目などを知り、予め準備をしておくことで、また時間的にも余裕を持って臨むことで、類似事例や相場を上前る売却価格の実現性が高まります。

買い手の基本的な調査項目を知ったうえで、過不足のない準備を実現しましょう!

 

 

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